文学フリマ福岡11に出店しました

去る2025年10月5日(日)に、文学フリマ福岡11に出店しました。

文学フリマ福岡に出店するのは2年ぶり。前回出店した時はまだエルガーラホールでの開催で、今回の会場であった博多国際展示場へは初めて行きました。

当日の朝に現地入り

僕は熊本に住んでいるので、朝から高速バスに乗って博多駅へ。そこから歩いて15分くらいで会場に到着しました。会場に近づくに連れて明らかにスーツケースを持っている人が増えてきてきて、「ああこの人たちに着いていけば大丈夫だ〜」と思いながら歩いていました。

今回は、このイベントに合わせて、熊本発の文芸誌「游象」を創刊しました。

印刷所から会場へ直接送ってもらえるようにしていたので、僕もここで本と初対面。ちゃんと刷り上がっているかな……とドキドキしていましたが、特に問題なく仕上がっているようでした。いやあ、良かったよかった。

また、既刊の『自然言語演習 日本語篇』と『文芸Webメディアを作る✌︎』も持っていきました。

今回は割と真面目にブース設営のことを考えて、A3のポスターを2枚作ったり、無料配布用のチラシを作ったりしました。文学フリマ福岡に参加する第一の目的は、もちろん多くの方に冊子を手に取っていただくことです。しかし、裏の目的として、蓼食う本の虫の名前だけでも覚えて帰ってもらう、ということがあったので、チラシだけでも持って帰ってくださることがいらっしゃったのは、かなり嬉しかったです。

想像以上の反応

文学フリマ福岡は、当たり前ではありますが文学フリマ東京よりは規模が小さく、来場者も少ないので、もしかすると販売部数は落ちるかな……と思っていました。しかし、結果としては、前回参加した文学フリマ東京41と遜色ないくらい多くの方に本をご購入いただくことができたと感じています。有り難いことです。

「游象」も多くの方に手に取っていただけたのですが、既刊の『自然言語演習 日本語篇』の反応がかなり良かったです。文学フリマ東京41では出店開始後3時間くらいで完売してしまったので、今回は多めに刷って持っていったのですが、本当にそれで正解でした。

ブースに来て内容を読んでから購入される方と、「これをください」とすぐに買ってくださる方が、だいたい半分ずつくらいの印象。前者の方には、購入に悩まれているようであれば、『自然言語演習 日本語篇』の内容について軽く話したりしました。たとえば、「有休と有給って、どっちを使ったら良いか分からなくないですか?」とか、「料理が趣味ですとは言えるけど、調理が趣味ですとは言えないですよね?」とか。それがきっかけで会話に花が咲き、結果として本を購入してくださったりもしました。

また、ブースに直接来てくださった方には、数人に「事前に何か情報を見られたんですか……?」と聞いたりしたのですが、どうやら見本誌コーナーで見てからブースに立ち寄ってくださった方が多いようです。やはりちゃんと見本誌コーナーには本を置くべきですね。置けるのが3冊までということで、今回はばっちりフルで3冊置かせていただきました。

『自然言語演習 日本語篇』は、とにかく目立つように黄色をベースにし、中身が分かりやすいように文字を表紙に配置しているので、それが奏功しているようでとっても嬉しいです。

文学フリマ福岡11で買った物

今回は1人での出店だったので、ほとんど他のブースを回ることができなかったのですが、買った本をご紹介します。

『#にほんごウォッチ まとめ本』

まず、これだけはどうしても買いたいと、イベント開始直後にお客さんのいない隙を見計らってダッシュで購入した、ひぐれやさんの『#にほんごウォッチ まとめ本』。日本語教師・日本語研究者であるひぐれさんが2022年からTwitterに投稿している「#にほんごウォッチ」の内容を再構成してまとめたものになります。あまりにおもしろくて、出店中の暇な時間にぐいぐいと読み進めて読了してしまいました。

本書は、ゆるい語り口で、思考していることが生に近い形で出てきているのが特徴だと思います。論文のように格式張っているわけではなく、非常に読みやすい。「分かる〜〜〜!」とか、「それはこういう考え方もできるんじゃないか……?」と、ひぐれさんの思考に伴走しながら自分も何かを考えられるのが心地よいです。これを飲み屋に持ち込んで、誰かとあーだこーだ言いながらビールを飲みたいですね。また、随所に日本語学的な専門用語の解説が挿入されているのも嬉しいポイント。僕は「有標」という概念がこれまでいまいちピンと来ていなかったのですが、本書のおかげで理解を深めることができました。

『ポッケ 肉と葡萄酒号』『うどんのやわらかい本』

ブースがお隣だったスタジオプリケさんの本を2冊購入しました。

『ポッケ』は、”北海道発のおいしい文芸アンソロジー”。この号の特集は「肉と葡萄酒」です。表紙の卓上に並んでいる料理が凄く美味しそう。まだ藤沢チヒロさんの「その恋に肉を」だけしか読めていないのですが、とても面白かったので、他の収録作も読むのが楽しみです。

また、『うどんのやわらかい本』も購入。こちらは表紙がとても良いのですよね。最初は『ポッケ』の方だけ購入したのですが、隣のブースで『うどんのやわらかい本』の表紙が視界に入るたびに惹かれて、追加でこちらもつい買ってしまいました。

『ラピスラズリ』

僕も学生時代に所属していた熊本大学の文芸サークルセピアの部誌、『ラピスラズリ』。現役のメンバーと連絡をする機会があり、挨拶を兼ねてサークルに遊びに来てくださったので、新刊交換をしました。

まだ中身を読めていないのですが、現役のメンバーがどのような作品を書いているか、楽しみに読みたいと思います。

『みぎわ』

上で紹介した文芸サークルセピアのOBが代表を務められている、文芸サークルみぎわの雑誌『みぎわ』の創刊号・第二号も新刊交換で頂きました。

特集が「写真・映像」らしく、こちらも読むのが楽しみです。

来年も出店したい!

これまでは人見知りを発揮して文学フリマなどのイベントで人とあまり交流できなかったのですが、今回は積極的に声をかけたりお話するなどして、今までの100倍くらい楽しめた文学フリマだったのではないかと思います。

文学フリマ東京に比べると、文学フリマ福岡は小規模でゆるい感じが良いですね。心なしか、ブースに立ち止まってくださる方もゆっくりと滞在してくださるように感じました。

販売している本の紹介を口頭で繰り返すうちに、自然と説明も板に付いてきた感じがあり、「なるほど自分は、この本のこういうところを面白いと思っているんだな……」とあらためて確認する契機にもなりました。

福岡は東京と違って、熊本から日帰りで行けるので、また来年も参加したいな〜! と思いました!